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2015年05月26日

桑の木、紅花、上杉鷹山。

七十二候だより いのちの暦 [第59回]
七十二候 第二十ニ候 小満 初候
蚕起食桑 かいこおきてくわをはむ
七十二候 第二十三候 小満 次候
紅花栄 べにばなさかう

桑の木、紅花、上杉鷹山。
片寄斗史子


ドクダミが、濃い緑の葉に真っ白な花を開かせています。
ツユクサも、田舎に比べると東京の花の色は淡く頼りなげですが、
咲いています。

すっかり夏空の東京です。
これから梅雨に向かって第一の夏模様、
梅雨のあとに第二の夏。
今年は、そんな夏景色ではないかと想像しながら
スーパーに並び始めた青梅の美しさを見入っています。

立夏の次、八節気「小満(しょうまん)」に入りました。
日を追うごとに気温も上がり、
万物が次第に長じて天地に満ち始める時季、
と暦にあります。

霜などの冷たさ、寒さを越えて麦の穂が実り始め
ほっとひと安心(少し満足)という意味から
「小満」というのだそうです。

北のほうでは、今が緑したたる若葉真っ盛りでしょうか。
山辺のむせるほどの緑は心身に独特の気をもたらすので、
恋しいほどです。



「緑」というのは、もともとは色名ではなく
瑞々しさを表す言葉で、それが転じて
新芽の色を示すようになったのだそうです。
やっぱり、新緑の色に万物を生かす強い力を
昔の人も感じたことでしょう。

さて、第二十二候と第二十三候を
並べてご紹介するのは、
今回は追い込まれてのことではないんですね。

桑の木、紅花と並ぶと、今の私には、
「上杉鷹山(うえすぎ・ようざん)」と続くからなのです。
新しい「毎日が発見」6月号の「言葉の森へ」で
扱っているのが「上杉鷹山」。
解説は『小説 上杉鷹山』の作者、童門冬二(どうもん・ふゆじ)さん。
その本をちょうど読み終えたところです。

上杉鷹山、という名前だけは
いつのころからか聞いて知ってはいました。
江戸時代、存亡の危機にあった米沢藩を
立て直した名君、と。

名君とは、節約の徹底と、同時に、
桑や漆の木、紅花を植え、
産業を興し、藩を立て直したということ。

「言葉の森へ」を読みながら、
初めて具体的な人物像に触れました。

ときは徳川第十代・家治将軍の時代。
のちの鷹山(冶憲・はるのり)は17歳で米沢藩主・上杉家の養子となり
藩政を引き継ぎ、改革へと歩を進めます。

養父には幸(よし)という娘がおり、
その娘と結婚をします。
幸には心身ともに障害がありました。

復興へと歩むその姿は、内村鑑三の英訳により、
米国大統領時代のジョン・F・ケネディに
「尊敬する日本人」と言わしめます。

童門さんの物語は、全編、人間性に満ち、
非常に読みやすいのが特長です。
ふと「出来すぎの人物像」ではと思う読者に、
童門さんはこんな台詞を終盤、用意していらっしゃいました。

「現在の世の中は、人間のみにくいことをあばくことだけが、
人間の本当の姿なのだ、という風潮がしきりでございます。
人が人を信じるとか、人のことを考えるとか、つまり、
やさしさ、思いやりのようなものは、すべて嘘で、つくりものだ、
という不信の気持ちが行き渡っております。でも、そうではない、
ということを、今夜、私は、はっきり知りました……」

これが、『小説 上杉鷹山』で、
現代人が読むための歴史小説が、
童門さんの歴史小説ではないかと思いました。
初めての作家との出会いでした。



毎日が発見  


Posted by あまゆい at 09:41Comments(0)七十二候だより

2015年05月22日

鼃始鳴 かわずはじめてなく

七十二候だより いのちの暦 [第58回]
七十二候 第十九候 立夏 初候
鼃始鳴 かわずはじめてなく
七十二候 第二十候 立夏 次候
蚯蚓出 みみずいずる
七十二候 第二十一候 立夏 末候
竹笋生 たけのこしょうず

一つの節気に三つの候。
片寄斗史子

七十二候だより いのちの暦」の片寄です。
慌ただしさにかまけて、三つの候をそのままに
してしまいました。

ちょうど一節気にあたる、
三つの候を飛ばしましたので、
ここで、三つの候を一緒にご紹介して(すみません)、
あらためて暦について復習し、考えてみます。

ここで「暦」というのは、
「二十四節気七十二候」を指しています。

二十四節気とは、一年を二十四等分に区切って
季節をあらわしたもの。
この一つの節気をさらに三等分したものが、七十二候です。
24(節気)×3=72、というわけです。

二十四節気は、一節気の「立春」にはじまり、
「大寒」の二十四節気で一めぐりです。
立春が今でいう二月四日あたり、
大寒が一月の二十日あたり。

そうなんです、二十四節気は旧暦を補うもの。
太陽の高さが最も低くなる「冬至」と
最も高い「夏至」を軸に、
その間の「春分」と「秋分」を基点に
一年を二十四等分しています。
ちなみに、この四つを「四至二分」というのだそうです。



旧暦は、月の満ち欠けをひと月とした太陰暦と
地球が太陽を一周する期間を一年とする太陽暦を組み合わせた
太陰太陽暦です。

ところが、月の満ち欠けと太陽の周期では
ぴったりうまく1年が重なりません。
これでは農耕や漁の目安にならないというわけで
考え出されたのが二十四節気七十二候。

気と候、で気候をあらわし一年の暮らしの目途としたのですが、
七十二候では特に
気象の変化を繊細にとらえられています。

そこで、夏のはじまり、立夏の三つの候です。
前の節気は春の最後の節気、「穀雨」。
その末候が「牡丹華」で、華やかな春の終わりでしたが、
緑に覆われ風薫る夏の始まりの候の
何と地味なことでしょう。

「七十二候だより」を書かせていただいて、
暦とは、太陽のもっとも低く極まる「冬至」、
つまり「一陽来復」=希望にあると勝手に解釈しましたが、
この三つの候を眺めていて、
暦のもう一つの基本が、ここにあると思いました。

カエル、ミミズ、タケノコ。
夏の始まりの候から思うのは、生きとし生きる「いのち」を
見つめなさい、いとおしみなさい、いつくしみなさい、
ということではないかなということでした。

万物の力がみなぎる、その前に、
小さないのちの形三つ。
なかなか、にくいですね。

気温に一喜一憂しては、
自分の生活に不都合のないようにと
気象をとらえる一方で、
一年というめぐりの気候のもとに生きていると、
青さをましていく空を見上げてみましょう。

よいゴールデンウィークでしたでしょうか。
夏休みまで、もう一区切り。
小さな気候の変化が連なります。

お問い合わせは
「天草を結ぶ会(あまゆい)」
amayui@aromaherb-coo.jp

アロマ&ハーブCOO
090-8419-0669 平方久惠

希望屋
090-9074-9646 中野千惠香



毎日が発見
  


Posted by あまゆい at 10:10Comments(0)七十二候だより

2015年05月01日

牡丹華 ぼたんはなさく

七十二候だより いのちの暦 [第57回]
第十八候 穀雨 末候
牡丹華 ぼたんはなさく

鬼太郎ロードから
出雲大社までの
海の道


片寄斗史子

朝の6時に起きたぐらいでは
もう夜明けの気分など、とうてい味わえない
光の強さになりました。

その光の中に
「カアア」と声がしたと思うや、
ベランダの手すりに一羽のカラス。

「おはよう」と言わんばかりに首をかしげ、
「どうぞ」とでも言えば、「おじゃましまあす」と
入る風情。ちょっと子どものカラスでしょうか。

「わあああ、勘弁、勘弁!」と
鳥肌になって、あわてて窓を閉めたら
その音を合図に飛び立ちました。

そして、もう一度、窓を開けて深呼吸。
今日から5月です。
六節気、穀雨の末候、「牡丹華」。
見事な牡丹の花が咲いて、春が終わります。



私の故郷、島根県、中海に浮かぶ島、
大根島(だいこんじま)は、
牡丹と朝鮮人参の産地として有名です。

島根県のお隣が鳥取県。
県境の大きな街が米子(よなご)、です。
そこから日本海へ向かうと、
「ゲゲゲの鬼太郎」を生んだ水木しげるさんの故郷。

鬼太郎ロードなど、いろいろなお店を回って
遊べるようになっています。

その水木さんの実家の前に立つと、
右手に日本海が広がります。
この小さな入り江から左に汽水湖の中海(なかうみ)が続き、
牡丹の大根島へと道ができていて、島根県に入ります。

はじめて大根島に行ったとき、北海道のよう、帯広に
似ていると思いました。面積は大違いですが、
畑作のための開墾という目的が同じだったからでしょう。

中海は、宍道湖(しんじこ)へと連なり、
松江、出雲をまたがり。陸に上がって出雲大社に行くと、
その先に「因幡の白うさぎ」でお馴染みの、稲佐の浜。
二度目の日本海の景色は、大陸へと広がります。

そんなふうに道ができている、山陰の海のロード。
5月は日本中どこも美しいのですが、
とりわけ、故郷、その海の道は光の中です。

もし、山陰を旅されることがあれば、ぜひ。
それから出雲大社にお参りされたら、お隣のお社、
“北島さん”にもぜひお参りください。

ここの庭は、私には、
パリ郊外、ジヴェルニーにあるモネの庭を
思わせます。

景色はまるで似てないので、ご注意しておきたいのですが、
庭のありよう、庭をつくる心が似ているんじゃないかなと
思うのです。

庭仕事、畑仕事、手仕事。夏の準備のはじまりです。
連休が明けるころには七節気、立夏です。
気をつけて、いい連休をお過ごしください。

お問い合わせは
「天草を結ぶ会(あまゆい)」
amayui@aromaherb-coo.jp

アロマ&ハーブCOO
090-8419-0669 平方久惠

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Posted by あまゆい at 16:45Comments(0)七十二候だより