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2015年11月29日

虹蔵不見 にじかくれてみえず

七十二候だより いのちの暦 [第72回]
第五十八候 小雪 初候
虹蔵不見 にじかくれてみえず


山形で見る虹のお話
虹始見(にじはじめてあらわる)
というのが、第十五候にあります。
二十四節気でいうと、春分のあとの
五番目の節気「晴明」の最後の候=末候です。

二十四節気の始まり、つまり一節気は立春ですから、
その四つあとの節気になりますから、春本番になって
虹が見られるようになる、というわけです。

今その虹が見られなくなる、ということは、
日が短くなって光も弱くなり、
空気が乾燥するということですね。
なぜなら、虹は、太陽の光が空気中の水滴に
反射して現われるものだから、ですよね。

もう一度、虹が見られるようになる春に戻ってみると、
六節気は「穀雨」。空気は湿り、やがて
七節気の「立夏」、季節は夏へと変わります。

虹蔵不見 にじかくれてみえず

七十二候には、このように(虹が見られる↔見られなくなる)
というように対の表現がいくつもあります。
まさしく、暦は巡るということで、
光や水や空気、そして大地……、気象というものが
命に欠かせない肌身とともにあったことがわかります。

気象予報に合わせて傘をもったり
服を一枚重ねたりするよりも、
もっとダイナミックに、暦は天とともに
とらえられていただろうと容易に想像できます。

夏前になると虹を見ていた
あの子どものころのようには
虹を見ることは少なくなりましたが、
ここのところ、山形に行くたびに虹に出合います。

私は山形の農家の女性たち十人ほどと
勉強会を二十年余り続けていて、
新しい「毎日が発見」の12月号、
巻頭の手紙にそのことを書いていますが、
その縁で、ひと月ほど前に、山形の日本海側、
庄内に行ってきました。

大きな会が開かれたためでしたが、
医師の南雲吉則先生にも来ていただき、
聞く機会の少ないお医者さんの真摯なお話もありました。
そのお話が終わったあと、「虹がでたよお」という声が聞こえ、
庄内平野に大きく虹がかかりました。
そういえば前日は雨模様でした。

「山の向こうの もうひとつの日本――山形」とは、
元駐日米国大使のライシャワー博士の言葉として、
ここ山形ではよく知られていますが、
山形に虹がかかるのは、まさしく山と、
水をはらむ田んぼがたっぷりとあるからだと思われます。

とくに庄内は、
月山、羽黒山、湯殿山、鳥海山のふもとが見えるほど
見事に田んぼが続いています。

その、まだ乾ききらない水気が虹を呼んだのでしょう。
私たちの体もたくさんの水を持ち、
南雲先生の言葉を借りれば
「消化管、気管」など、管によって細胞が働いています。

管も細胞も不摂生によって炎症を起こし、
摂生を取り戻すことで自ら修復をしますが、
それには限界があり、限界の現れの一つが
細胞のがん化である、という話は、
では摂生とはどういうことか、というお話でした。

その核となるのが、食生活の見直しです。
「この三十年間に、罹患率だけか死亡率までが
三倍になった乳がんを、これから30年間かけて
三分の一にしよう」、それには生活を変えるしかない、
という内容でした。

検診も手術も治療も、これだけ進んでなお、
がんが急激に増えているのですから、
異なる手立てを考える時がきたということです。

そのメッセージを、「毎日が発見」の新しい号、
12月号に載せています。
ぜひ読んでください。

天と暦と体。
巡る命は、十一月末、二十節気となり、
「小雪」、雪の季節に入りました。
冷えていく空気とともに年末に向かいます。


片寄斗史子

虹蔵不見 にじかくれてみえず
毎日が発見

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