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2015年07月28日

桐始結花 きりはじめてはなをむすぶ

七十二候だより いのちの暦 [第66回]
第三十四候 大暑 初候
桐始結花 きりはじめてはなをむすぶ

桐の花と蓮の花

十一節気の「小暑」から、
二十四節気、前半の最後、
十二節気の「大暑」に入りました。

このあたりから約2週間後の立秋まで、
つまり、二十四節気の後半が始まるまでが
1年でもっとも暑い日です。

確かにその通りですね。しかも大雨や台風も。
「暑い」とばかりも言っていられなくて、
体、身の回りに充分注意して過ごすときです。

そんな時期に、暦が注目しなさいというのが、桐の木。
初夏、山裾辺りに薄紫の花をつけ、この暑い時期に
実を結ぶということです。

木に咲く花はよっぽど意識して見ないと
その花の様子はわかりにくいものですが、
桐の木はことに高いところだけに花をつけるので、
身近に眺めるというわけにいきません。
花札とか紋章のほうが身近です。



私の父方の祖母は花札の好きな人で、
たくさんの孫にルールを教え、交代をさせては
マッチ棒を賭けて“勝負”を楽しんでいました。

祖母の強みは、身支度に手を抜くことのない
非常にきれいなおばあさんであったことと、
魔法のように水屋からお菓子を出すこと。
私たち子どもはいつも祖母の部屋を出入りしたものです。

賭けごとの味をしめたせいか、
きょうだいは両親ともよく花札をし、
桐の花の“格”の高さを身をもって知りました。

記憶にある、ほんものの桐の木は目の前のきれいな幹の肌と、
見上げてみるすてきな葉っぱ。
遠くに薄紫のかたまりの花、です。

桐が実を結ぶのは、蓮のはなびらが散ったあと、
と書いてありますが、蓮の花の様子も
知らないままです。

「蓮始開(はすはじめてひらく)」は、
第三十二候、小暑の次候でした。

蓮の花が大好きな友人は、
自宅で睡蓮を育てていて、
その七十二候を読んで、
メールで睡蓮の花の様子を教えてくれました。

手を合わせたような睡蓮の花弁は、
朝の光をその中に集めるのです。
花の中に集まった光の美しいこと、美しいこと。
しかし、睡蓮の花の素晴らしさはこれだけではないのです。

3~4日ほど咲いた睡蓮は、蕾と見間違うほどに
しっかり閉じます。そして、細い茎に引かれるように
水中に身を沈めます、いや鎮めました。

しばらくしてわずかに身を崩し、土色になります。

清い水ではないところに凛と咲き、
花びらを1枚も散らさずに丁寧にたたみ、静かに身を引き、
何ごともなかったかのように身を横たえています。

睡蓮は「生き方、死に方を教えてくれた花です」と

書き添えられていました。



蓮の花びらは、散るのではなく、まして萎むではなく、
結ぶ(閉じる)。そういう花なのですね。


片寄斗史子


毎日が発見


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Posted by あまゆい at 10:57Comments(0)七十二候だより

2015年07月18日

鷹乃学習 たかすなわちがくしゅうす

七十二候だより いのちの暦 [第65回]
第三十三候 小暑 末候
鷹乃学習 たかすなわちがくしゅうす

サルスベリの花が鈴なりに開いて梅雨開け。

これは7月中旬、出勤途中の公園で、
今年も花咲き始めた白いサルスベリを見て、
“私の七十二候”を気取ってみたものです。

三角垂のようにサルスベリの花が開くと、
りんりんりんと、神社で巫女さんが持つ“巫女鈴”を
いつも思い出します。

七五三のときだったと思います。
お社の中に上がって、ご祈祷を受けていると、
鈴を持つ白い顔の巫女さんがあらわれ、
その手首が動くたびに鈴の音がして、
どこか違う世界からの音のようでした。



今年の7月半ばは台風11号。
みなさまに被害はありませんでしたでしょうか。

さて、7月半ばの、本当の七十二候は、
鷹の子が飛び方を覚えるころ、
「鷹乃学習(たかすなわちがくしゅうす)」です。

一体全体、鷹の子というものがどんなヒナか、
わかりませんが、孵化するのが5、6月とありますから
まだまだ幼いでしょうが、早くも巣立ちの準備をするわけです。

動物の様子や気持ちを考えるとき
必ず思い浮かぶのが、ローレンツ博士の
『ソロモンの指輪~動物行動学入門』です。

親鳥のいない雁のヒナが
刷り込みによって世話をする人間を親と思い付いて歩く、
といった観察記録などを記し、
「“ソロモンの指輪”がなくても、自分がよく知っている
動物の気持ちなら多少はわかる」と著した本です。

“ソロモンの指輪”とは、古代イスラエルの王、ソロモンが
大天使ミカエルから授けられた指輪のことで、
その指輪をすることで、あらゆる動物や植物と会話ができる
というものです。

ひょんなきっかけで、半年ほど前から仕事場で
ペットショップで売られていた子犬を飼うことになりました。
昼間はいろいろな人間が出入りするたびにはしゃぎ
元気で遊んでいますが、
仕事を終えてひとり、ふたりと帰っていくと、
そわそわと人の動きに敏感になり、やがて、
朝まで“ひとり”で過ごします。

やってきた当初はゲージの中に入れ眠らせましたが、
いまではもう勝手にソファでも床でもどこでも寝ます。
そして、朝、誰かがやってくるのを「もう来るかな?」と、
たぶん待っています。

あんまりかわいいので
「かあさんもかわいいの?」などと聞いて、
あ、この犬は生まれるとほどなく“ひとり”ゲージに
入れられて大きくなったんだと気づきました。

誰に生きる術を教わったわけでもないのに
眠り食べ排泄をし、膝に抱かれる。
それが、すべて遺伝子に組み込まれているのでしょう。

犬はそのことに非常に忠実に従って、危険を避け
シンプルに生きるのです。
生まれ落ちて、ただ“ひとり”、遺伝子に守られ独学をする犬、
それがペットショップの犬ではないかと思うのです。
あらためて親も兄弟もなく生きているんだなあと
感心しながら一緒に時間を過ごしています。


片寄斗史子



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Posted by あまゆい at 09:04Comments(0)七十二候だより

2015年07月14日

温風至 あつかぜいたる

七十二候だより いのちの暦 [第64回]
第三十一候 小暑 初候
温風至 あつかぜいたる
第三十二候 小暑 次候
蓮始開 はすはじめてひらく

このお便りが2年目に入ります。

「第三十候の『半夏生(はんげしょうず)』で、
まる1年、続いたことになります。
今度の『温風至(あつかぜいたる)』から2年目です」

なんとなく、そろそろかなとは思っていましたが、
やっぱり! 
係の方が教えてくれました。

1年を続けることができた、
ということは、
原稿を受けとめ、ブログの形にしていただく
何人もの方がいてのことだと、よくわかります。

そして、読んでくださる方がいてのこと。
お読みいただいている方に
あらためてお礼を申しあげ、
1年続いたうれしさを共にできればいいなと思います。

第三十候の「半夏生」を読んで、
友人がすぐにメールをくれました。
テレビで、山形には
「半夏(半夏生)の一つ咲き」という言葉が
あると伝えていて、その番組に感動したというのです。

「半夏生」は夏至から11日め、新暦では7月2日ころにあたり、
そのころ、紅花が一輪だけぽっと咲くことを
「半夏の一輪咲き」と、昔の人は言ったのだそうです。

そして「半夏生」を境にして、
次々に紅花は花を開かせ、
辺り一面を紅黄色に染めていくのだそうです。

この、紅花の不思議な花の開き方を
昔の人は天の巡りに合わせたということは、
それだけ七十二候が身近で
あったということでしょうか。

あるいは、この「半夏生」のころには、
各地でそうした、さまざまな変化が
見られたのかもしれません。
大きな節目として覚えておこうと思います。



お茶やさまざまな料理教室でのレッスンなどで、
何年も続けていらっしゃる方がいらっしゃいますね。
ついこないだまでは、そうしたことに
ずいぶんと悠長なこと、と思っていましたが、
こうして、ささやかな勉強を始め続けてみると、
繰り返していく“やめられない楽しみ”がわかります。

「半夏生」のあと、十一節気、小暑、「温風至」から、
また1年、始めます。

始まる、開く、という言葉が使われることの多い
七十二候ですが、
第三十一候の温風は、“至る”です。
いよいよ暑くなりますよ、ということですね。

そうして、第三十二候は、「蓮始開(はすはじめてひらく)」。
梅雨が明け、大暑へと向かっていきます。
「毎日が発見」7月号の表紙のように
夢のような夏をつくりたいと(暑い、暑い、ばかりではなくね)、
そのためには元気でと思います。

2年目に入った<七十二候だより>
みなさまのお話も聞かせてください。


片寄斗史子


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Posted by あまゆい at 09:07Comments(0)七十二候だより

2015年07月08日

半夏生 はんげしょうず

七十二候だより いのちの暦 [第63回]
第三十候 夏至 末候
半夏生 はんげしょうず

梅雨の日に写真2枚贈ります。

七十二候の中には、なじみのない言葉が
割合多く出てきますが、
この「半夏生(はんげしょうず)」もその一つです。
半夏(はんげ)という、きれいな文字に、
生=生きる、生まれる、生ずる
という文字。

半分の夏、夏半分に何が起きるというのだろうと
ただ眺めるだけで調べもしないときは
謎めいていたものです。
でも、もうわかります。

半夏とは、絵とともに説明がありますが、
サトイモ科の薬草「烏柄杓(からすびしゃく)
のことをいうのだそうです。

絵を見ると、
葉っぱ(葉柄)がくるりと丸まっています。
この巻き方、
花のカラーと同じ、
カラーも同じサトイモ科でした。

「半夏」の丸まったそのさまを、
烏が使う程度の小さな柄杓に見えるからと
「烏柄杓」と呼ぶようになったそうです。
烏に柄杓を持たせるなんて
なんとイキな発想でしょう。

「カラスのエンドウ」もありますから、
野良仕事にはカラスは親しい鳥だったのでしょう。
そんなことを思うと、
半夏という文字の美しさにも
親しみが含まれているように感じます。

誰かに、何かに、親しみを感じる、
という心もちになるというのは
日々の張りつめた営みの中で
ひととき心がやわらぐ幸せの一つです。

このあいだ、奈良に住むイラストレーターの、
小池百合穂さんから
「梅雨が続きますね。ごぶさたしております」と
メールをいただきました。

ここのところ、毎号、
「きものリフォーム」のページでイラストを
描いていただいていますが、担当におまかせで
私は本当にごぶさたをしておりました。

「毎日が発見」の仕事を通しての
それも離れていますから
メールか電話のおつきあいですが、
やわらかでやさしいお人柄に包まれて
一度お会いしただけで親しみを感じてきました。

メールには、夏には伺います、という
うれしい予告と「あじさいと、カワトンボの写真を送ります」
とありました。「カワトンボ、かっこいいです」と。
こんな、かっこいいカワトンボ、いるんですね。
というわけで、みなさまにも写真を見ていただきます。

あじさいは、京都・宇治の三室戸寺、



カワトンボは奈良のあじさい寺・矢田寺での撮影、とあります。



きれいな写真でしょ。小池さんもこんな感じの方です。
二つとも知らないお寺。
さ、調べて今度行きましょう。
小池さんが行くのですから、
訪ねる甲斐のあるお寺に決まっているのです。

片寄斗史子

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2015年07月02日

菖蒲華 あやめはなさく

七十二候だより いのちの暦 [第62回]
第二十九候 夏至 次候
菖蒲華 あやめはなさく

7月号は届きましたか。

片寄斗史子

週末、土曜日(27日)の夕方は、ひさしぶりの
夕焼けに、雨あがりの景色が彩られました。
そして、夜になっても明るい水色の空。

日曜日。私のベランダにはきれいなツユクサ。
ご近所にはノウゼンカズラや夾竹桃。
夏休みに入った7月の末のように感じていても、
まだ、今は6月の終わり。

確かに家の中の、いただきもののアジサイの匂いは
まだ夏には早すぎて、今は「菖蒲華(あやめはなさく)」。

七十二候に出て来る花の数は案外少なく、
なじみのある花ばかりではありませんが、
菖蒲の花は、身近でなくなった花の代表かもしれません。

菖蒲園のようなところは別として、
ちょっと歩いて出会うなんてことはなくなりました。
螢と同じで、川べりとか沼地など、
水けのあるところに、かつては背丈をそろえて伸びていました。

生け花を習っていた私の母親は菖蒲の花が大好きで、
田んぼに水を引く小さな川の端の畑、
その水際全部に菖蒲を並び植え、花咲くころには
誇らしそうに摘んでは生けていました。

生けられた菖蒲の花は、母親が自慢に応えるように、
長いまっすぐの茎を精いっぱい伸ばして
そこに載ったペン先のような蕾や紫色の大きな花弁を
持ち上げていました。



東京に出てきてからというもの、すっかり忘れていた菖蒲の花が
昔の人々の心をとらえていたのだと知ったのは
日本画の画家のほとんどが、必ずといっていいほど
菖蒲やアヤメ、カキツバタを描いていると気づいたからでした。

ああ、こんなにも多くの人に描かれてきたのかと
その絵の素晴らしさはもとより、
画家の心をとらえた花が菖蒲であったことに
驚いたのでした。

そんなことを思いながら、近所の美容室に
お礼を言いに行くことにしました。
お届けしたばかりの7月号26ページ、
手づくりのスロープの主は、私が長年お世話になっている
美容室のオーナーです。

このスロープも素敵ですが、私が大好きなのは、
オーナーの、周囲の空き地の使い方、小さなガーデンのセンスです。

お店は都か区、つまり公共の遊歩道に面して建てられたビルの1階ですが、
土地の境界に植栽された垣根、その隙間に、彼は気の利いた植物を植え、
トマトや万願寺とうがらしなど夏野菜も植えているのです。

行政の植栽だけでは空き地ができたり枯れ地もできます。
そんな中で、美容室の周りは濃い緑に包まれています。
「どうぞ植えてください」と、行政の了解も得たと言います。

大きなトマトと筆先のようなとうがらしの、濃い緑――。
ちょっとした空き地を少しずつ、きれいに緑で埋めていく。
きっと誇らしいことだろうなと思います。

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